関心のあるテーマだったので読んだ。
以下のような内容だったと思う。自分の解釈も含む。
- 人生の目的は「経験」「思い出」=人生の喜びを最大化することであって、富を最大化することではない
- 歳を取ると体力や思い出づくりが難しくなる。また、思い出はその後反芻することができる。だから、若いころから思い出づくりをするべきだ
- 歳を取るほど金を経験に変えることが難しくなっていく
- 特に「今しかできないこと」を経験することが後悔しないために重要だ
- 一方で人々は老後に備えすぎており、そのために若いころからの思い出づくりができていない。しかし実際は、そんなに老後に備える必要はない
- 人間はいつか死ぬ。最高長寿記録で123歳ほど
- 老後は支出が減少する
- 高額な延命治療には否定的
- 人生の喜びにつながらない、金がかかる=若い頃の思い出づくりの機会を損なうため
- 死んだときに残った財産は「無駄」「失敗」である
- 相続や寄付も、死ぬ前にもっと早く行うべきである
- 早い段階で受け取ることで、もっと価値を最大化できたはずである
- 相続や寄付も、死ぬ前にもっと早く行うべきである
- 従って、人間はゼロで死ぬべきである
- 人生の喜びを最大化しつつゼロで死ぬためには、計画を立てて実行することが重要である
- 各体験から得られる喜びをポイント化し、ポイントを最大化することを目指す
- タイムバケット
- 「金」「健康」「時間」のバランスを取る
- 資産のピークを決める。45~60歳の間のどこかがおすすめ
- リスクを取る
- 非対称リスク
- デメリットが極めて小さく、メリットが極めて大きい場合、大胆な行動を取らないほうがリスクになること(だそうだけど、非対称リスクで検索してもそういう説明は出てこなかった)
- 今リスクを取れないなら、いつ取れるのか?
- 非対称リスク
- 長寿リスクへの対処
- 長寿年金
- 病気の予防に投資する
- リスクの許容度は人によって違う(ので自分で決めてくれ)
事前に読んだレビューの感じではあんまり期待してなかったけど、個人的には結構良かった。 FIRE的なヤツに対して死ぬまで資産を維持することへの疑問とか生き方に関する言及の薄さみたいなところを感じていたけど、そこをうまい具合に埋めてくれた印象。 自分の内側に無かった新しい考えを発見できたという感じではなかったけど、自分の考えの整理や補強に貢献があった気がする。 あと単純に、文量が少ないのも良かった。
全体的に著者の考えという感じで確からしい根拠に立脚しているわけでは無いという雰囲気ではあったので(ちなみに、自分は読んだ本に対してこう思いがち)、著者の考えに共感できるかどうかが一番の分岐点にはなりそう。 個人的には思い出づくりが人生の目的かと言われるとピンとこないけど、喜びが無いよりはあったほうが良いし、死んだ時に残った財産は無駄というのもそうだと思ったので、概ね共感しながら読むことができた。
一方で、例えば健康保険まわりなど日本の場合は事情が異なるような記述はいくつかあったかと思う。 肝心の資産計画の立て方についてもかなり簡易的な印象で、この本の知識だけでは個人的にはかなり心細い。 自分が読んだ本だと2022-2023年版 みんなが欲しかった! FPの教科書3級 を読んだ - 下林明正のブログとかFIRE 最強の早期リタイア術 を読んだ - 下林明正のブログあたりに加えて気になる部分を勉強するのが良い気がする。自分の場合は親不孝介護 を読んだ - 下林明正のブログなど。
また、加齢することに対して極度にネガティブな印象も受けた。 もちろん基本的にはネガティブなことだとは思うけど、歳を重ねたことで味わったり楽しんだり理解できるようになることもあるんじゃないか。欲望から自由になることもあるんじゃないか。願望かも知れないけど、そんな歳のとり方ができればなお良いと思った。