原作の銃夢が好きなので観た。
序盤の、幸せを捨てて真実を追求するみたいなストーリーラインはベタだけど好みだった。 全体的には、銃夢の要素を無理に拾いすぎてちょっとチグハグだったような気がした。観る前は2時間20分って長いなって思ったけど、観てみるとそれくらい要素が押し込まれた感じだった。
クズ鉄町もアイアンシティになって、ちょっとオシャレになっていた感じがした。 銃夢ではハングル踊る猥雑オリエンタルシティみたいな感じだったけど、アリータでは欧州のスラム街みたいな雰囲気。 とはいえ銃夢のクズ鉄町像はあまりに往年のサイバーパンク的過ぎるので、新しい映画としてそうした文脈から切り離すために現代に相応しい形にブラッシュアップされたのかも知れない。
ジャシュガンとかノヴァ博士も原作ではめっちゃ良いキャラなんだけど、アリータではなんかあんまり存在感が無くて残念だった。要素を詰め込みすぎたせいで全てにキャラについて掘り下げが不足していて、共感しにくくなってしまっている気がする。
あとは銃夢といえば圧倒的なゴア描写が1つの特徴だったと思うのだけど、そのあたりはレーティングのためかかなり抑えめだったのも個人的には残念だった。
もう少し原作に寄せるか、もっと思い切って原作から離れても良かったのでは?というのが正直な感想。 とはいえ、ここまで結構ネガティブなことばかりを書いたけど、2時間20分をそれほど退屈せずに過ごせたというのも事実。なので、原作を知らなければこうした細かいことはあまり気にならず普通に楽しめそうな気がする。
そもそも、「アリータ」というのは原作ではノヴァ博士との架空世界でガリィに与えられた名前だったはずなので(合ってたっけ?)、ここから「実はこの映画の内容は全部ノヴァ博士の仕込んだ架空世界でのできごとだった!!」みたいなオチの余地もあり、そう考えるとまあなんでもいいかという気もしてくるのだった。
僕は割と作者のファンでもあるので、ついにハリウッド映画化されたか~みたいな感慨もある。
銃夢→(銃夢事件)→灰者→水中騎士→銃夢LOという時系列で作品の内容や絵柄も変化していっていて、おそらく作者の人格も揺れ動いていったんだろうなあというところにドラマを感じている。
特に重要なパーツとして、おそらくフランク・ミラーの影響を強く受けた灰者と、ダークサイドから脱却しようとした水中騎士の2つがあって、その2つが融合する形で銃夢LOがあるのだと思っている(ということを昔どこかのインタビューか何かで読んだのかも知れない)。
結構精神的に不安定な時期もあった様子だった気がするんだけど、そうした先にハリウッド映画化!みたいな分かりやすいマイルストーンがあるのは、ハッピーなことだなあと思う。
とはいえここまで書いておいて、実は僕は銃夢LOのZ.O.T.編の終わりくらいから読んでいない。特に深い理由は無いんだけど、紙の本を処分しようと思い立ってから銃夢LOに限らずマンガ全般をあまり読んでない。これを機に電書版を買って読もうかな。
- 作者: 木城ゆきと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/01/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 木城ゆきと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/07/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: フランク・ミラー,堺三保
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2014/04/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (11件) を見る
- 作者: 木城ゆきと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/07/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
銃夢Last Order NEW EDITION(1) (イブニングコミックス)
- 作者: 木城ゆきと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る