下林明正のブログ

個人的かつ雑多なブログです。

中年危機 を読んだ

中年の危機がキーワードなのかもと思って適当に探して目についたので読んでみた。

けど、あんまり好みの本ではなかった。 何が好みでないのかというと説明が難しいけど、あくまで個人の意見という印象を拭えなかったり、どことないオシャレ感が好みでないのかも知れない。

読者にその問題が降りかかってきたとき、どう立ち向かえばよいか。

と出版社からのコメントには書いてあるけど、個人的にはこの本に書いてある内容が問題解決の一助になる気はしなかった。

まあとはいえ、好みじゃないからこそ普段とは違う物の見方を知る機会にもなるだろう、という気持ちでざっくり読み進めた。 「冬の中に春を見ることが上手になってこそ、中年の次にやってくる老年へとスムーズに入っていける。」というのは良い表現だなと思ったし、「ワイルド」に関する意見もある程度共感できる。

人間や人生は複雑で非論理的な部分を多く含むのだから、コントロールはできないし解釈次第で大きく性質を変える、というのが通底するテーマだったような気がする。 こういう安易なまとめ方を嫌うような雰囲気もあり、複雑なものは複雑なまま抽象化せずに受け取れ、解釈とは物事を一面から見ているに過ぎない、という話をしているような印象もある。 そもそも小説をテーマにしている時点でそういうものという気もしてきた。

こう書くと「要は気の持ちよう」みたいに思ったりもするけど、気の持ちようではどうしようもないような題材を扱っている章もあり、どちらかというと自分なりに筋の通った一連の解釈を自分で見つけろ、という感じかと思う。 そのヒントとして、小説に対する著者なりの解釈を提示して見せているのかも知れない。 だんだんそんな気がしてきた。