社内で有志の読書会がはじまって、元々興味あったので読むことにした。
「何を」「なぜ」「どのように」つくるのか。事業とユーザーを結びつけ、プロダクトを成功に導く!GAFA、Netflix、Adobeなどシリコンバレーで実践される成功するIT製品の作り方。
主旨としては多分以下のような感じ。
- 基本的には多分アジャイルとかリーンの延長線上にある話で、その上でプロダクトマネジメントそのものや必要なものについて説明している
- プロダクトマネージャーの仕事はめっちゃ大変
- ハードワーク前提
- その上多種多様な専門性を要求される
- スクラムでいうプロダクトオーナーの責務はこの本で言うプロダクトマネージャーの責務の一部に過ぎない
- アウトプットベースの文化からアウトカムベースの文化に転換する必要がある
プロダクトマネジメントという言葉の定義は世間的にはまばらな印象だけど、この本でいうプロダクトマネージャーは以下のような責任を持つようだ。
- 顧客に関する深い知識
- データに関する深い知識
- 自分たちのビジネスとステークホルダーに関する深い知識
- 市場と業界に関する深い知識
個人的に気になったところをメモっておく。
- 製品開発チーム
- こういうチームを組もうと思った時点で結構敷居が高いと思うけど、この本では前提とされているので後続の内容もおそらく紹介されているようなチームを組まないとあまり意味がない
- 職能横断的で、「伝道師のチーム」で、2枚のピザルールを満たしていて、メンバーが安定的で……という感じで、アジャイル系の本読んでたらまあそうだよねという感じ
- メンバーの所属組織についてとかに言及してるのはちょっと踏み込んでる感じがする
- すべてのプロダクトマネージャーが受けておくべき大学の授業
- コンピュータープログラミング入門
- そうだねという感じ
- 企業会計・財務入門
- (僕はプロダクトマネージャーではないけどプロダクトマネジメントへの理解は得たいと思っているので)こういう勉強もしたほうが良いんだろうな
- コンピュータープログラミング入門
製品開発チームの中には2人以上のテックリードがいるチームがあるが、それは非常にいいことだ
- あまりピンとこなかったので、自分とテックリードという役割の理解がズレているのかも知れない
- 通常のロードマップと製品開発ロードマップ
- 正直具体的に製品開発ロードマップが何なのかは掴みかねてるけど、通常のロードマップの問題点についてはそうだねという感じ。加えて、でも通常のロードマップが必要とされている理由について考えて、ちゃんと答えていこうねという話は建設的
- 製品発見のほとんどのテクニックは開発者に時間を要求しないという話
- 製品発見のためにいかにしてデリバリーの速度を上げるかみたいな発想になりがちだと思うので、念頭に置いときたい
- 製品発見などのテクニックを色々と紹介
- かなりいろいろなテクニックが紹介されている
- ストーリーマップ
ストーリーマップは、ユーザーストーリーが羅列された典型的なバックログに対する不満から生まれた。そこには文脈がなく、優先順位のついたストーリーのリストにすぎなかった。自然と次のような不満が生じた。あるストーリーが全体像に適合することを開発チームはどうやって知ればいいのだろう?ごくわずかの文脈しかないのに、あれほど細かく優先順位付けするのは何の意味があるのだろう?どんなストーリーのセットだったら意味のあるマイルストーンやリリースができるのだろう?
- バックログを補助するというか、この本的にはバックログがストーリーマップの補助的なものなのかな
- なぜか図示してくれてないけどこういう感じっぽい: ユーザーストーリーマッピングをやってみた | DevelopersIO
垂直軸は詳細さのレベルを示す。それぞれの主要なアクティビティーから一連のユーザータスクを具体化するにつれて、各タスクにストーリーを加えていくのだ。重要なタスクは任意のタスクより高い位置に置かれる
- この本によるととのことなので、垂直軸の使い方が色々あるのかも?でも他の説明の雰囲気的にはやっぱ同じことやってそうなので、翻訳の雰囲気とかの問題なのかも
強力な製品がなければ、マーケティングプログラムの顧客獲得コストは高騰する。販売組織は「創造的」になることを余儀なくされて販売コストが上がり、販売サイクルが長くなり、価格に押し下げ圧力がかかる。カスタマーサクセス組織は日々、不満を持った顧客からの苦情にさらされる。下方スパイラルが続くのは、販売組織が、弱い製品で競争しようとするときに多くの取引先を失うからである。そうなると販売組織はどうするだろうか?自社製品にない機能や、その機能がある製品を持っている競合他社について、プロダクトマネージャーにわめき始めるのだ。たいていの場合、これによって状況はさらに悪化する。プロダクトマネージャーが販売手動の企業で働いていることに不満をもらし始めるからだ。多くの読者が自分の会社のことを書かれていると思っただろう。残念なことに、私はこれが極めて多くの企業、特に直販組織や広告販売組織を持つ企業の実情だと思っている。
- ミッション・ビジョン周りの話は並行して読んでいた学習する組織 を読んだ - 下林明正のブログと合わせて理解が深まった気がする(というか、これまで無頓着過ぎた)
割と全編いい話という感じなので全部取り上げてるとキリがないのでこれくらいで。
個人的には 正しいものを正しくつくる を読んだ - 下林明正のブログ と取り扱ってる話題は結構近いなーと思っていて、あちらが割とメソッド寄りに感じたのに対してこちらは割と思想とか原理原則に寄ってるかなと感じた。「アジャイルを越える」みたいな文言がところどころ出てくる感じも近い雰囲気を感じる。両方読むとこのあたりの理解が高まりそう。
アジャイルとかリーン的な話題を普段から勉強している人にとってはより具体的なプロダクトマネジメントの領域に踏み出せる良い本だと思うけど、そういう素養がない状態で読もうとするともしかしたらあまりピンとこないかも知れない。