イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press
- 作者: Clayton M. Christensen
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
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顧客の意見に熱心に耳を傾け、新技術への投資を積極的に行い、常に高品質の製品やサービスを提供している業界トップの優良企業。ところが、その優れた経営のために失敗を招き、トップの地位を失ってしまう――。
としていて、なぜそのようなことが起こるのか教えてくれる本。
僕は新規事業が一般に上手くいかない理由に興味があって、その辺りで有名そうなので読んでみた。
経営者向けの本なので僕のような現場の人間が読んでもあまり実践する機会は無いのだけど、こういう知識は企業について考えるとき役に立つ。
抽象度の高い話題が続くような内容なのかと思っていたけど、読んでみると組織の構造的な問題とかに言及していて意外と現実的な印象を受けた。 ハードディスク業界の盛衰を例に理論を展開したりしていて、コンピューター関係の業界関係者であれば親近感を持って読み進められる。 持続的イノベーション・破壊的イノベーション・バリューネットワークの3つがおそらくキモで、これらを関連付けて読むと内容に納得できる。
個人的には、技術のSカーブの図が頭に残っている。 企業は上位市場にしか移行できない、という話もなるほどと思った。ユニクロやマクドナルド、飛躍して対戦ゲーム業界のことなどを思い浮かべた。 また、この本の内容はリーンスタートアップ系の考え方にも反映されている気がするのだけど、もしかしたら前提知識レベルなのかも知れない。不可知論的マーケティングなんかは、まさにリーン的な考え方だと感じた。 あまり重要ではないが、原著のタイトルはInnovator's Dilemmaらしい。訳されたタイトルだとニュアンスが違ってしまっている印象があって、原題の方が適切に感じる。
文中でも紹介されているように イノベーションと起業家精神 と併せて読むと実践するイメージが掴めそう。 この本を読んで、大企業がM&Aをする理由が少しは分かった気がした。 企業を評価するときなどに活用していきたい。