下林明正のブログ

個人的かつ雑多なブログです。

組織が変わる を読んだ

他者と働く を読んだ - 下林明正のブログ

ただ、具体的な橋のかけ方についてはよく相手を観察してかけましょうという感じで、あんまり具体的な方法論みたいなのはよく分からなかった。

と書いたところ 続編に当たる本には2on2っていう具体的な手法が提示されてます https://www.amazon.co.jp/dp/4478107025 - t_kyt のブックマーク / はてなブックマーク というコメントをもらったので、読んでみることにした。

「職場に活気がない、新しいアイデアが生まれない…。 このように組織が硬直化し、“閉塞感”が漂う企業は少なくない。 こんな状況を変えるには、「対話」が必要。 著者はこう指摘し、4人1組で行う、新しい対話の方法『2 on 2』を紹介する。 表面的な問題の裏にある真の問題を明らかにし、 改善を図る画期的な方法だ!」

内容としては、「他者と働く」を読んでいなくても読めるように構成されていて、以下のような感じだった。

「組織の慢性疾患」をセルフケアする新しい対話の方法「2 on 2」とは? | 組織が変わる | ダイヤモンド・オンラインを読むとだいたい雰囲気は掴めそう。

以下気になった点をメモ。

  • 「問題解決策依存症」とは、手のつけどころがわからない複雑な問題に対し、手近にある解決策を取り続けている状態のこと。でも、自分たちで手を携えてやっかいな問題にも手を付けられるのだと実感が湧いてくれば、この依存症から回復することができます。そして、確かな変革への手応えを感じながら歩み始めることができるのです。
    • これはこの本で大事なテーマ
  • 誰 も 今 の よう な 状況 を 望ん で い ない。 けれども、 会社 は 一向に 変わら ない。 誰 か すごい リーダー が 大鉈 を 振るっ て 大改革 を し て ほしい と、 ひそか に 思っ て い ます。
    • あるある
  • どちら かが 完全 に 間違っ て いる なら 簡単 です。 しかし、 それぞれ の ナラティヴ は 正しい から こそ、 問題 が 複雑 に なっ て いる の です。 この 状況 では、 各々 が 正しい こと を 主張 し 続け ても、 問題 は 平行線 の まま です。 どこ かで、 互い の ナラティヴ の 接点 を 見つけ なけれ ば なり ませ ん。 それ が 対話 する という こと なの です。
    • あるある
    • 対話 とは、 相手 を 自分 の 目的 達成 の ため に 道具 的 に「 巻き込む」 前 に、 まず 相手 の ナラティヴ が 自分 とは 異なる もの で ある こと を 理解 し なけれ ば なり ませ ん。 相手 なりの 理 が ある こと を 認め、 相手 の 存在 を 道具 では なく、 自分 と 同等 に 存在 し て いる もの として 認める こと が 第一歩 です。 ですから、 相手 を「 巻き込む」 前 に、 相手 に「 巻き込ま れる」。 つまり、 相手 の ナラティヴ に 参入 する こと が 重要 なの です。 相手 の ナラティヴ が 観察 する に 値する 存在 で ある こと を、 こちら 側 が 受け入れ なけれ ば 何 も 始まり ませ ん。
      • 前著でいう「私とそれ」の関係から「私とあなた」の関係に転換しようという話っぽい
  • 対話 は 決して わかり 合う こと を 目指し て 行う わけ では あり ませ ん。 こう 書く と 驚か れる かも しれ ませ ん が、 私 が この 本 で 伝え たい 対話 とは、 決して わかり 合う こと が 目的 では ない の です。 そう では なく、 組織 の 慢性疾患 に対して セルフ ケア を する 核心 が 対話 で ある と 思う の です。 そして セルフ ケア への 糸口 を 見つけ、 新た な アプローチ を 発見 し、 実践 し 続け ながら、 必要 に 応じ て 方向 を 改める 過程 を 繰り返し て いく うえ で 対話 の プロセス は 欠か せ ない の です。 具体的 な 問題 に 困っ て いる 最中 に、「 わかり 合う ため に 対話 を し ましょ う。 今 までの 組織 の 文化 を 変え ましょ う。 みなさん、 もっと 話す 練習 を し ましょ う」 と 言わ れ たら、 カチン と くる のは 当然 でしょ う。 本書 で 言う 対話 の 目的 は、 わかり 合う こと を 目指そ う と 呼びかける もの では なく、 組織 の 慢性疾患 への セルフ ケア に あり ます。 対話 と 言っ て い ます が、 一般的 な「 わかり 合う ため の 対話」 とは 大きな 隔たり が あり、 現実 と 向き合い、 変革 を し て いく ため の 方法 で ある こと を 感じ て いただけ た でしょ う か。 ここ まで 対話 とは、 目 の 前 の 問題 に対して、 相手 だけで なく 自分 も その 問題 の 一部 で ある こと を 発見 し、 その こと を通じて より よい 組織 の 状態 を つくっ て いく こと。 互いに わかり 合う ため の もの では なく、 具体的 な 問題 に 向き合う こと が 大事 だ と 述べ て き まし た。
    • たしかに「対話」と言われると「わかり合うこと」が目的のように無意識に思っていたけど、それは違うと言われてハッとした
    • 「問題解決策依存症」から脱却するための「セルフケア」することが目的で、「セルフケア」の目的は「緩やかで確実な変化」に対してみんなで問題に対してアプローチしていくことで「落ち着いた状態」になること
  • これ について、「 自責 と 他 責」 で 説明 さ れる こと が あり ます。 つまり、 自分 の 責任 と 考える か、 他人 の 責任 と 考える かで、 その後 の 行動 が 大きく 変わる。 責任感 が 欠如 し て いる と、 人任せ に なる という わけ です。 これ は 本当 でしょ う か。 責任感 の 欠如 では なく、 問題 に対して どう アプローチ し たら いい のか。 問題 の 解釈 が 自分 の ナラティヴ に 縛ら れ て しまい、 それ 以外 の 解釈 が でき ず、 マネジャー 自身 モヤモヤ し て いる 状態 だ と 思う の です。
    • 自責と他責は自分もよくやる考え方なのだけど、一度こう考えてみることが現状突破の糸口になり得そう
  • よくビジネスでは「社員が同じ方向を向いていることが大切だ」と言われますが、本当にそうでしょうか。そもそも、同じ方向とは何でしょう。最終目標として、会社の利益や社会貢献につながるという意味で同じ方向を向いていることはとても大切だと思います。それが営利企業のあるべき姿です。しかし、同じナラティブを生きることを強いるのは警戒すべきです。そこには、上司の考えを部下に強要する願望が見え隠れするからです。

あと、個人的にはこの本を読んでいて自分が(ある程度成熟したチームで)やりたいふりかえりにも通じるところがあるな、と感じた。このへんの話。

自分の中では、(ふりかえりに関しては)いわゆるシングルループ学習とダブルループ学習の話なのかな、という気がする。

チーム形成の初期では単に考慮できていなかっただけのかんたんな問題がたくさんある状態なので、前提を疑わずにシングルループ学習を繰り返しているだけでサクサクと改善することができる。

これがある程度成熟してくると、かんたんな問題はあらかた解決されて難しい問題ばかりが残る。ここでいう難しい問題というのはこの本でいう「慢性疾患」とすぐに解決できないという点で似ていると思う。 難しい問題というのは大抵構造に組み込まれているからこそ解決が難しいことが多い印象で、そうした場合は前提を疑わないシングルループ学習だけしていても解決できないので、前提を変えるダブルループ学習が必要になってくる。

ダブルループ学習をするときに、構造を明らかにするためにお互いのナラティブを持ち寄って、問題を外在化することで対処しやすくすることが重要、とも読める気がする。

このあたりは自分はあまりうまくやれてる実感は無くて、取り組んでいるんだけどいまいち突破口が見えていない。

難しい問題は難しいので、目を向けているとなかなか改善できずに無力感が募ってつらくなってくるという問題もある。難しい問題から派生したかんたんな問題もたくさんあるだろうから、かんたんな問題に目を向けて取り組んだほうが気持ちよくなれるという構造もありそう。ただ、それだと対症療法に始終することになるので、根本的には状況はあまり良くならなさそう。

また、仮に異動がよく行われる組織の場合ではチームが成熟期に達することがあまり無いので、形成の初期に適したノウハウやメンタルモデルばかりが強化されてしまって、カウボーイ的な組織構造が保存される構造になっているような気もする。

まあ単に、そうした活動は片手間でやってるので片手間でできる仕事ではないというだけの話かも知れない。

特にまとまらないけど、この本を読んでいてそういうことをぼんやり考えていた。