下林明正のブログ

個人的かつ雑多なブログです。

Fearless Change を読んだ

組織に働きかける理論めいたところは本を読んでみたので、もう少し具体的な方法論っぽい本を読みたいと思ってこの本を読むことにした。 また、僕が運営を引き継いだ社内の有志グループの立ち上げをした人もこの本を参考にしたと言っていたので興味がわいたというのもある。

固定レイアウトなのは大変つらいけど、組織パターンとかああいう感じでパターンたちと使い方をまとめた本で、内容自体は期待したものだった。時間も最近読んでた本と比較してかからなかった気がする。

大筋としては、ロジャーズのイノベーションの普及プロセス(みんなが見たことある例のグラフ)にしたがって、イノベーター側から徐々に変革を推し進めていこう、そのための各ステップごとのパターンはこれだ(巻末にまとめられている)、という内容だと思う。

ここで重要そうなのは、

  • 一度に組織全体を変革しようとせず、小さく初めて少しずつ育てていく必要がある
  • 提案をまとめただけでは不十分で、周囲を巻き込みつつ粘り強く推進し続ける必要がある
  • 最初からマスタープランを目指すのではなく、学習しながら現実にフィットさせていく必要がある

といった点と捉えた。

つまり、これって近代的なプロダクト開発とかと大枠は同じじゃん?という印象。

この本の良いところは、現実主義的なところだと思う。「えらい人」をどういったタイミングで引き入れるべきかとか、根回しの仕方だとか、反対派とのうまい付き合い方などについて言及されているのが良い。

悪いところは、構成があまり良くない気がする。序盤は実例をもってパターンの使い方を説明してくれるんだけど、まだパターンの説明がない段階でどんどんパターン名が出てくるので理解不能で、読み飛ばすしか無かった。また、あまり図示とかも無いのでとにかく文章を自分で咀嚼していく必要がある。

読んでから知ったけど、この前読んだ「学習する組織」とかも下敷きにしている感じなのでタイミングが良かった。というか同僚いわく、マネジメントの歴史を学ぶと分かるらしいのだがコッターの変革の8段階プロセス的なトップダウン・アプローチはあまりうまくいかなかったよねという流れから近年はボトムアップ・アプローチが注目されているそうなので、学術的な文脈の上にある新しめの本は大体こういう感じなのかも知れない。

固定レイアウトに対抗するためにWindowsマシンでスクリーンショットをプライベートのScrapboxに貼り付けながら読み進めたけど、何もしないよりは良かった気がする。次も渋々固定レイアウトの本を読むことになったらやってみたい。


次読む本はどうしようか悩んでいる。自分のほしい物リストを眺めてみたところ、 組織変革能力みたいなところに関して言うとこの辺が良い気がする。

国別の文化の違い以外にも、例えば職種別の文化の違いなどにも適用できたりしないかな?と思い。 組織変革を進める上で多職種横断するのは必要なことなので。

自己認識というか状況認識がうまくできないと組織変革もうまく進められないだろうから、こういう本も良いのかも知れない。

あとは全然別種の喫緊の問題に対応するため、

みたいな要求工学的な?知識も身につけておいたほうが良い気がする。 SAFeを下敷きにしているみたいだけど、自分が受けたスクラムマスター研修でSAFeはスクラムじゃないという話も聞いているので肌に合わないかも知れないが……。

これもまた全然別の話題だけど

もおすすめらしいので読んでみたい気もする。

まあこの中だと間違いなく役立つのは要求の本という気がするので、次はそれを読んでみようかな。

追記

そういえばこの本は良いアイディアの出し方とかアイディアの良し悪しの見極め方みたいなのは特に触れてないので、下手打つと悪いアイディアをがんばって広めるみたいなことは有り得そうだなと思ったのだった。

まあ良いアイディアと悪いアイディアがかんたんに見分け付けば苦労しないので、色々試してどんどん学習して変化していこうぜだと思うし、そこはあまり重要でないということなのかも知れないが。