TRPGとカラオケ

TRPGを遊んだ時に自分が感じる独特のおもしろさって何だろう?っていうのが引き続き気になっていて実は今でも細々と遊んでいた。 表にTRPGというキモい遊びについて書くとごちゃごちゃ言われることもあるのであまり書いてこなかったけど、自分の中である程度考えがまとまってきたのでせっかくだから雑でも良いのでまとめておこうと思った。

結論から言うと、TRPGのおもしろさはカラオケのおもしろさだと思った。 馬場論ではTRPGはカラオケなんかじゃないというニュアンスでバッサリ切られているわけだけど、僕に言わせればTRPGとカラオケは構造的に似ている。

僕は元々カラオケが嫌いだったのだけど、段々と慣れてきて今では普通にカラオケに行くくらいにはなった。 で、その過程でカラオケって何なのか考えることが多かった。 カラオケって、人前で歌うのは恥ずかしいし、下手な歌を聞いている方も苦痛でしか無い。 じゃあ何なの?バカなの?って考えると、俺はこんな歌を歌っちゃう人間なんだぜという「自己紹介」とそれを聞いて苦痛をこらえてあげた上で僕ちゃんもこんな歌歌っちゃうよという「受け入れ」をお互いに繰り返す、相互承認の儀式であると思い至った。

他者に存在を承認されることは、人間の素朴な社会的欲求を満たされる心地よいことだ。 こういうのは礼の文化というのだろうか?お辞儀よりももっとコストの掛かる形で、お互いの存在を認め合ってるのだと思う。

じゃあ一方でTRPGはどうだろうか。TRPGといっても色んな遊び方(ウォーゲーム的な遊び方から、ルールもクソもない子供のごっこ遊び的なものまで)があるけど、自分はいわゆるロールプレイを楽しむ遊びだと捉えている(そういう意味では前述の馬場論とはそもそも立場が違う。この辺りの理由は後述)。 その上でTRPGを前述の構造に落としこむと、俺はこんなロールプレイをしちゃう人間なんだぜという「自己紹介」とそのうざったい苦痛を乗り越えレスポンスしてあげる「受け入れ」をお互いに繰り返す、やはり相互承認の儀式であると捉えられる。

こういう文脈でTRPGを語ると「いや、TRPGは美しい物語を皆でつくる遊びなんだ!」と言われそうだ。自分も以前はそう思っていた(割りと日本人プレイヤー特有の感覚っぽいけど)。 でも過去の経験を振り返ると、美しい物語なんてつくれたことはほとんど無かったけど、それでもおもしろいときはおもしろい。それはなぜか?と考えると、やはり相互承認の心地よさからくるものではないかと考えるのが自然だ。 美しい物語をつくるっていうのはカラオケでいうと上手に歌って場を盛り上げようというようなもので、別に必須ではないけどそうだったら更に楽しいよねっていうくらいの要素にすぎない。 なので実は、やはりTRPGにはカラオケと同じように目的意識なんて無くて、儀式を通じて得られる相互承認感覚の方が大事という話だと思っている。

TRPGをゲームとしてみると今となってはコンピューターゲームボードゲームをやった方が高度な楽しみができるし、単にお話を楽しみたいだけなら映画や小説の方が圧倒的に良い体験ができる。 もちろんTRPGならではのインタラクション性というのもあったりするけど、現実にはシナリオの範疇から外れてしまうので結局は大したことができないことが多い(この要素を自在に活用できるほど練度の高いGM/PLはなかなかいない)。 さらに、TRPGはあまり効率の良い遊びではないと思う。特に時間面でのコストパフォーマンスが最悪。 それじゃあなぜTRPGを遊んでいるのか?と改めて自問すると、基本的には前述のように相互承認がしたかったんだなと解釈すれば納得できる。

その上でさらに、じゃあTRPGのシステム(SW2とか深淵とか)って何なんだろう?と考えてみると、これは例えるとカラオケにおけるお題(アニソンカラオケとか)みたいなものだと思う。 僕だったら洋楽カラオケは苦痛が許容を超えているので参加しないけど、アニソンカラオケなら苦痛の程度が低いことや同質の人間が集まっていることが予想できるので参加する気になれる。 同じように、SW2で神をも超えるハイレベルセッションをするぜ!みたいなのは痛々しくてやってらんないけど、深淵でローファンタジーするぜ!だとそういうのは好みなので参加する気になれる。 結局、システムというのも相互承認の儀式を効率よく運用するための仕組みだということが分かる。 シナリオなんかも同じ。

ここまで考えると、僕がコンベンションに行っても大体おもしろくない理由がわかった。 カラオケって基本的に仲の良い人か、仲良くなりたい人としかしないと思う。僕にとってはTRPGも同じ。 コンベンションは、そもそも僕のようにカラオケ的な楽しみ方をしていない人もたくさんいるし、仲良くなりたいような人もあまりいないので、相互承認の場として不適切。 結局歌の教室みたいな感じで美しい物語をつくる練習をする場みたいな感じになってしまうので、うまくいけばそれはそれで嬉しいけど、根本的には求めているものが満たされない。

TRPGはカラオケ論で更に考えると、一般人がTRPGに参入する際に感じる障壁などについてもある程度一般化して語ったりすることができそうだけど、土台としては雑すぎるしキリがないのでやめておく。

という感じで、個人の感想レベルでは「TRPGってカラオケだったんだな」って納得したので、すっきりした。 次にTRPGを遊ぶことがあったら、この点を意識して遊んでみたい。きっと楽しいと思う。

ちなみに、これらの話を踏まえて僕の一番好きなシステムは深淵で、やっぱダークファンタジーかつローファンタジーが一番しっくりくる。早く第三版出ないかな。