下林明正のブログ

個人的かつ雑多なブログです。

掲示板のログを眺めて

自分はブルガダ症候群を患っていて、22歳のころにICDを埋め込んで先日29歳になった。

勉強のためにICDについて会話している掲示板の過去ログを眺めてみて、話題の種類はそれほど多くないと感じた。 それぞれについて自分はどうなのかざっと考えてみる。

自動車の運転

おそらく一番多い話題はこれ。実際のところは人次第っぽい。

自分の場合はしばらく発作が起きていないので運転しようと思えばしてもいいことにはなってるが、担当医に推奨はされていない。自分としてもあまり運転はしたくない。 都市部に住んでいるのでそもそも自動車を運転する必要性も無いため、この問題は回避できている。 将来的に地方に住むことになった場合は、気がかかり。

仕事

基本的に身体障害者が正社員として働くことは難しいというのが現実。その上で生活や身体にも制限がかかるので、仕事の種類も限られてくる。

今だから言うけど、自分が2012年にIT業界で転職活動したときも複数社に身体障害者であることを理由に採用を断られた。会社によっては契約社員ならいけなくもないが、正社員は基本的に受け付けていないという回答だった。元々まともに就職活動をせずに正社員として就職していたこともあってそういった認識はなかったので、現実は厳しいという感想。

その後運良く今の会社に正社員として雇用され、他の社員と同じように活躍させてもらっている。 かたや掲示板を見ていると他の社員の目が辛いなど生々しい話が書き込まれており、社会の障害に対する理解は不十分だし、改善される見込みもないと感じている。 特にICD埋め込み患者はぱっと見では健常者と大差ないのでその傾向は強そう。

公務員にも障害者枠があるが、掲示板の内容では精神障害者ならともかく身体障害者は基本的に雇用されないらしい。その辺りは検討したことがないのでよく知らない。

そんなわけで、健常者よりも細心の注意を払ってキャリアを構築していかないとその内生活保護のお世話になるしかなくなりそうだな、と感じている。

障害者年金

障害者年金に関する話題も多い。人によるが、自分の場合は現状お世話になっていない。

個人的な考えだけど、今後は福祉医療費は削られていくだろうし、その際に真っ先に削られるのは老人の福祉医療費よりも先に障害者の福祉医療費なのではないか、と懸念している。 そうなると先述の仕事の件と相まって実質的に人生が詰んでしまう可能性が健常者より高い。 矛盾しているようだけど、健常者よりも自分自身の力で何とかしていかなければ危ないという危機感を持っている。

電磁波

ICDは電子機器なので強い電磁波が出ている場所にいてはならない。 とはいえ、実際のところは手引書を見れば答えが書いてあるのでそれほど困ることはない。 赤外線などは当然問題ない。

運動制限

元々運動していた人がICDを埋め込んで諦めなければならなくなった、といった話題はそれなりに多い。 自分の場合は趣味の自転車くらいしかなかったが、落車して胸を打つと取り返しの付かないことになるということで医者から注意を受けた。峠を走りに行くのは控えようという気持ちになっている。 クロールなどもしてはいけないらしい。懸垂や腕立て伏せも無理。

自分は胸筋が薄いせいか手術跡の治りが悪いので担当医が自分でもできる筋トレを調べてくれている。 健常者よりも健康に気を使わなければならないので、自分としても何とかしたい。

リード線

これまであまり気にしてなかったが、冷静に考えると自分の場合は将来的に問題になる可能性が高そう。

というのも、リード線はダメになっても血管と癒着してしまって交換できないことが多そうな雰囲気で、自分は若いこともあって今後何度もICDの交換手術をするはずなので、そうなると左胸にはこれ以上リード線は埋め込めないから右胸に、右胸もダメだからお腹に、などとなっていく可能性がある。 現状自分にできることはなるべくリード線の寿命が伸びるように身体をいたわるくらいしか無いが、正直今後の技術の進歩に期待するしか無いというのが現状。

もし感染症にかかったりしたらリード線を取り外さなければならなくなるはずで、大変そう。 次に交換手術をするときは長めの休み期間を取ったほうがいい気がしている。

完全皮下ICDや、無線充電技術あたりが有望なのだろうか。そういう情報は患者には伝わってこないしネットにも転がっていないようなのでよく分からない。 そもそも、遺伝子治療のようなもので病気が根治されたらな、と夢見ないわけでもない。

等級の見直し

最近になってICD埋め込みの障害等級の見直しが行われた。

自分のように既に認定されている人間に変化は無いが、先述のように福祉医療費の削減に伴い将来的に波及してくる可能性は否めないと感じる。そうなると先述のように収入面で不安定なので、人生が詰んでしまう可能性がある。

保険・ローン

加入できないので諦めるしか無い。死亡する可能性が高い・社会的立場も不安定なので金融商品としては当たり前だろう。 おそらく賃貸か実家暮らししかできないのだが、賃貸の場合は先述のように社会的信用が無いので高齢になったときに借りられるか怪しい。 何らかの方法で社会的信用を構築していかなければ住む場所も選べない。 それにつけても金のほしさよ。

雑感

自分は独身なので今後一人で面倒を見れるのか非常に心配なのだけど、意外とそういった話題は見かけなかった。 この話をすると施設のお世話になればいいみたいなことを言う人もいるけど、よほどの金持ちじゃない限りまともな生活はできないと思っておいたほうが良さそう。そうでないなら老人介護問題も一挙に解決しそう。

既に結婚されていて、病気が発覚した後にも子供を産まれている方も多いようで驚いた。自分の場合は病気が遺伝する可能性があるので、死亡リスクが高いし、自分の子供にこんな目にあって欲しくない。この辺りは個人の自由という感じなのでとやかく言うつもりはないが、ちょっと意外だった。

とまあそんな感じで、誰でもそうだと思うけど、現実の問題は色々とある。 ここに書いたのはあくまで自分の考えだけど、他人に僕のことを理解してもらったり、他のICD埋め込み患者の参考になれば良いなあと思っている。