隣の家の少女 読んだ

ずっと前に何かで見つけて買っていたのだけど、ずっと読む時間を作れずに放置していたのを最近読み終わった。

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

Amazonのレビュー欄を眺めていたら、この小説は実際に起こった事件をベースに書かれているらしいということを知った。知らなかった。

実際にこんなようなことがあったのだとしたら痛ましすぎるけれど、実際のところ人類は思いつくような残酷さは大体のところ発揮してきた様子だから、そういうものなのかも知れない。

読み始めから読み終わりまで思ったことは、文章がメチャクチャうまいということ。翻訳者の手が入っているはずなのだけど、それを感じさせないほどにハッキリと柔らかく情景を描写していた。

意外だったのは、文体がそうしたある種そっけないものだったこと。 残酷、鬼畜、胸糞が悪い、そういった前評判からてっきりくらく重い文体を想定していたのだけど、実際には違った。 しかしながら、それが却って内容に現実味と質感を帯びさせていたように感じる。

サスペンス、ホラー、そういったジャンルの小説のようだけど、十二分に「青春モノ」としても通用する内容だった。というのも、基本的に文体は淡く明るいし、思春期特有の心の揺れ動きのようなものまで含めて、見事に描写していたからだ。 また、描かれる人物たちの精神的病理にも、十分なバックボーンが提供されている。登場人物は全員、主人公さえも含めて、加害者であると同時に被害者でもある。線引きのできない危うさの上に全員が立っている。

体罰や虐待が起きると、先ず起こった現象に穂先が向けられる。そして大体は、それだけだ。 しかし実際には、全員が、灰色の境界をまたいで生きている。 問題には原因があって、その原因を追求しない限りは対症療法的な成果しか得られない。

そんなことは誰だって暗に理解していることだろうけど、実際には殆どの人はその事実を暗に無視する。 体罰や虐待の構図が、一歩引けばやはりそこにはあるのだと感じる。

読みながら、そんなようなことをぼんやりと思っていた。